費用/更新日 2026-10-17
マンション共用部の蛍光灯LED化|管理組合での進め方・費用・補助金
結論:共用部の蛍光ランプは、コンパクト形が2027年1月1日、直管形・環形が2028年1月1日から製造禁止です。点灯時間が長い共用部は、器具の交換時期も早く来ます。
2025年10月の標準管理規約の改正で、共用部分の照明のLED化は修繕積立金を使える「改良」の例に挙げられました。補助は自治体の制度があり、着工前の申請が条件の例もあります。
廊下、階段、エントランス、駐車場など、マンションの共用部には多くの蛍光灯が使われています。台数が多く、ほぼ一晩中点灯している場所もあるため、LED化は電気代と管理の手間の両方に関わります。この記事では、管理組合がLED化を進める手順を、国や自治体の資料で整理します(確認日:2026年10月17日)。当サイトは施工も販売もしない情報サイトです。
2027年問題:共用部で使われる蛍光ランプの期限
環境省によると、一般照明用の蛍光ランプは種類ごとに製造と輸出入が禁止されます。使用・販売・購入は禁止されていません。
| ランプの種類 | 型番の例 | 製造・輸出入の禁止 |
|---|---|---|
| コンパクト形(ツイン蛍光灯) | FPL36EX-N、FDL27EX-L | 2027年1月1日から |
| 直管形 | FL40SS・EX-N/37、FHF32EX-N-H | 2028年1月1日から(ハロりん酸塩系の蛍光体のものは2027年1月1日から) |
| 環形(丸形) | FCL30EX-L/28 | 2028年1月1日から(同上) |
| 電球形 | — | 2026年1月1日から(30W超は2027年1月1日から) |
(出典:環境省。型番は当サイトの型番データの例)
コンパクト形の禁止まで、2026年10月17日時点で3か月を切っています。ダウンライトや階段灯にツイン蛍光灯を使っている建物は、在庫の確保と器具交換の計画を急ぐ必要があります。ツイン蛍光灯のLED化はツイン蛍光灯をLEDにする方法で説明しています。種類別の期限の一覧は製造禁止期限の一覧にまとめています。
共用部の器具は家庭より早く交換時期が来る
照明器具にも寿命があります。日本照明工業会は、照明器具の適正交換時期を8〜10年、耐用の限度を15年としています。この年数は1日10時間、年3,000時間の点灯を前提にした考え方です。
パナソニックの資料では、適正交換時期は点灯時間で大きく変わります(周囲温度30℃以下・定格電圧の場合)。
| 年間点灯時間 | 1日あたりの目安 | 適正交換時期の目安 |
|---|---|---|
| 3,000時間 | 約10時間 | 10年 |
| 5,000時間 | 約17時間 | 6年 |
| 8,000時間 | ほぼ24時間 | 3.8年 |
(出典:パナソニック「照明器具の正しい使い方 器具の寿命について」)
夜間ずっと点灯する廊下や、終日点灯の駐車場・内廊下では、10年より早く交換時期が来ることがあります。製品評価技術基盤機構(NITE)は、蛍光灯器具の事故のうち使用年数が推定できた133件の約9割(120件)が使用10年超の器具だったと公表しています(2026年3月)。器具の点検項目は蛍光灯器具の寿命と交換時期で説明しています。
非常用照明と誘導灯は別に管理する
共用部には非常用照明器具や誘導灯もあります。パナソニックの資料では、適正交換時期はどちらも8〜10年、耐用の限度は誘導灯が12年、非常用照明器具が15年、内蔵の蓄電池は4〜6年が交換の目安です。一般の照明とは点検や交換の基準が違うため、見積もりでは分けて扱ってもらいましょう。
費用と効果の実例
共用部のLED化の工事費について、公的な相場はありません。参考として、江戸川区のマンション管理組合向けの広報紙(2023年6月発行)に、マンション管理士による次の実例が掲載されています。
| 例 | 工事費 | 効果 | 回収 |
|---|---|---|---|
| 30戸・築11年 | 2,154,600円(うちエレベーターかご内照明210,600円) | 電気料金が月平均約64,868円から約30,877円へ(約52.4%減) | 5〜6年で回収 |
| 36戸 | 1,320,000円(税込) | 電気料金が830,000円から700,000円へ(差額130,000円) | 約10年の見込み |
(出典:江戸川区 マンション管理組合向け広報紙 第82号。金額は当時のもの)
同じ記事では、対象を各階廊下、エントランス、駐車場、エレベーターかご内など長時間点灯する場所とし、導入後に電灯の契約容量を見直すことを勧めています。また、工事費は時期によって変わるため、見積もりはその都度取るよう述べています。上の数字は特定の建物の例で、相場ではありません。
お金の出どころ:修繕積立金は使えるか
国土交通省は2025年10月にマンション標準管理規約を改正しました(改正の概要資料)。改正の概要資料では、修繕積立金の使い道について、建物や設備の性能・機能を新築時の水準から高める「改良」工事にも充てられることを明確にしたと説明しています。その例として「共用部分の照明のLED化・郵便受けの大型化」が挙げられています。
ただし、標準管理規約は国が示すひな形です。実際に修繕積立金を取り崩せるか、どの決議が必要かは、それぞれのマンションの管理規約によります。標準管理規約では、普通決議は出席組合員の議決権の過半数で決めるとしています(第47条第2項)。自分たちの規約がいつの版をもとにしているかを、管理会社に確認してください。
なお、東京都の「マンションの管理のポイント」(2020年2月)も、管理組合の取り組みとして「共用部分の照明のLED化などの省エネルギー化」を挙げています。
使える補助金の例
管理組合が使える補助は、主に自治体の制度です。次の2つは、2026年10月17日に公式ページで確認した内容です。
| 制度 | 補助の内容 | 期限 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 港区「管理組合等向けLED照明」 | 設置に要する経費の4分の1、上限100万円 | 工事着工前かつ2027年1月29日まで申請。完了報告は2027年2月26日まで | 区のマンション省エネ診断を受け、診断に基づく改修であること。決定通知の後に着工。賃貸物件は不可 |
| 西東京市「地球温暖化対策助成金(LED照明器具)」 | 器具本体:税抜8,000円以上で1台4,000円(上限25万円)。設置工事費:2分の1、上限5万円 | 2026年12月25日まで(消印有効) | 市内の集合住宅の管理組合などが対象。2026年7月1日以降の購入・設置。先着順 |
江戸川区の広報紙(2023年6月)では、東京都のマンション管理アドバイザー制度の省エネ・再エネ診断(B-8コース)と、区がアドバイザー派遣料の3分の2を助成する制度(派遣の申込前に区へ申請)が紹介されていました。現在の受付状況は区と都の窓口で確認してください。
港区の制度は「着工前の申請」が条件です。工事を発注してからでは使えません。補助を検討する場合は、業者を決める前に自治体の条件を調べてください。家庭向けの制度はLED照明の補助金(家庭向け)、事業所向けの国の制度は事務所の蛍光灯LED化で紹介しています。
管理組合での進め方
- 照明の台帳をつくる:場所ごとに器具の種類、台数、ランプの型番、点灯時間、器具の製造年を書き出します。型番の期限は型番チェッカーや型番データ一覧で確認できます。
- 理事会で方針を決める:全館を一度に替えるか、点灯時間の長い場所から替えるかを決めます。長期修繕計画との関係も確認します。
- 補助を調べる:着工前の申請や省エネ診断が条件の制度があります。この段階で確認します。
- 見積もりを比べる:同じ条件で2社以上に依頼し、内訳を比べます。
- 総会などで決議する:費用の出どころ(修繕積立金か管理費か)と決議の方法は、管理規約に従います。
- 工事と事後の見直し:工事後に点灯を確認し、電気の契約容量の見直しを電力会社や管理会社と検討します。
理事会で決めておきたいこと
工事の発注前に、次の点を理事会で決めておくと、見積もりの条件がそろい、比較しやすくなります。
- 範囲:全館を一度に替えるか、点灯時間の長い廊下・駐車場から段階的に替えるか。江戸川区の実例でも、長時間点灯する場所を対象にしています。
- 明るさと色:今と同じ程度の明るさにするか、場所ごとに見直すか。光の色(昼白色・電球色など)も決めます。色の違いは蛍光灯の色の違いで説明しています。
- 点灯の制御:人感センサーや明るさセンサーを使うか。使う場合は防犯上の明るさを保てるかを確認します。
- 在庫の扱い:工事までの間に切れるランプをどう補充するか。管理員室の予備ランプの数を確認します。
- 居住者への周知:工事の日程、停電や通行制限の有無を、掲示や配布で知らせます。
見積もりで確認すること
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 器具代 | 場所ごとの器具の品番、明るさ、台数。センサー付きにするか |
| 工事費 | 1台あたりか一式か。高所作業や足場の有無 |
| 非常用照明・誘導灯 | 一般照明と分けて記載されているか |
| 撤去・処分費 | 古い器具と蛍光管の処理方法と費用 |
| 補助申請 | 申請に必要な書類(見積書、仕様書、写真など)の作成に協力してもらえるか |
工事を頼む相手と方法
天井や壁に直接配線された器具の交換について、経済産業省の資料では、配線器具の取り付け・取り外しや電線の接続は、電気工事士でなければできない作業です。工事は資格を持つ電気工事業者に依頼します。
ランプだけを直管LEDに替える方法は、器具の点灯方式と合わないと事故になった例があり、NITEは「LEDランプに交換すれば、ずっと使える」は間違いと注意を呼びかけています。共用部のように器具の数が多い場所では、器具ごとの交換を基本に検討してください。理由は蛍光灯LEDの工事不要タイプとインバーター蛍光灯をLEDにする方法で説明しています。費用の項目の考え方は蛍光灯LED交換の費用も参照してください。
まとめ:コンパクト形の製造禁止は2027年1月1日です。台帳づくり、補助の確認、見積もり、決議の順に進めます。補助は着工前の申請が条件のことがあるため、業者を決める前に調べましょう。
よくある質問
マンション共用部のLED化に修繕積立金を使えますか?
国土交通省が2025年10月に改正した標準管理規約では、修繕積立金を「改良」工事に充てられることを明確にし、その例に共用部分の照明のLED化を挙げています。ただし実際に使えるかは、各マンションの管理規約と決議によります。
共用部の蛍光灯はいつまで使えますか?
蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されていません。ただし製造と輸出入は、コンパクト形が2027年1月1日、直管形と環形が2028年1月1日から禁止され、今後は在庫品だけになります。
共用部のLED化の費用はどれくらいですか?
公的な相場はありません。江戸川区の広報紙では、30戸の例で約215万円、36戸の例で132万円(税込)が紹介されていますが、建物の条件で大きく変わります。同じ条件で複数社の見積もりを取って比べてください。
管理組合が使える補助金はありますか?
自治体の制度がある場合があります。港区は経費の4分の1(上限100万円)を補助しますが、省エネ診断と着工前の申請が条件で、申請は2027年1月29日までです。お住まいの自治体の公式ページで確認してください。
関連記事
出典・確認日
確認日:2026-10-17。官公庁・メーカー・事業者の公開資料を確認して作成しています。確認できなかった事項は推測で書いていません。
- 環境省「一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入の禁止について」
- 国土交通省「令和7年マンション標準管理規約改正の概要」(PDF)
- 日本照明工業会「リニューアルQ&A」
- パナソニック「照明器具の正しい使い方 器具の寿命について」(PDF)
- NITE 発表資料PDF(2026年3月26日)
- NITE「見た目はピカピカ、中身は劣化 ~10年超え『古い蛍光灯器具』の事故に注意~」(2026年3月26日)
- 江戸川区 マンション管理組合向け広報紙 第82号(2023年6月)
- 港区「管理組合等向けLED照明」(2026年4月23日更新)
- 西東京市「令和8年度 地球温暖化対策助成金(LED照明器具)募集要項」
- 東京都「マンションの管理のポイント」(令和2年2月)
- 経済産業省「電気工事士等でなければ従事できない電気工事範囲とは」(PDF)